准教授の國枝 繁樹氏が日経ビジネスオンラインで
政府紙幣発行で財政再建の嘘という文書を載せて
いるが、説得力のあるものではない。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20110726/221685/?P=1
その理屈は以下の通りである。
1.国民にとっては、政府紙幣でも日銀券でも同じな
ので、政府紙幣の増加分だけ、日銀券の保有を
減らす。
2.それに対応するため、日銀は国債を売り、日銀券
を吸収する。
3. その結果、日銀保有の国債残高が減少し、金利
収入が減り日銀納付金も減少する。
4.現在および将来の日銀納付金の減少額の現在価
値は、政府紙幣による増収額と一致し、現在価値
ベースで見れば、政府紙幣の発行により政府の歳
入は増加しない。
この論理の問題点は前提にある。市中での通貨の必
要量を一定と仮定していることである。だから、発行さ
れた政府紙幣相当分必ず国民は通貨保有量を減らす
という主張が出てくる。
しかし、当然のことであるが、市中の貨幣流通量は経
済状況によって異なる。
例えば、今回10兆円の増税によって賄う復興資金を
全額政府紙幣で賄うとすれば、その10兆円相当分
国民が日銀券の保有を減少させることはありえない。
その分は追加で流通し、GDPの増加に寄与し税収と
して歳入増加をもたらすことになる。
また、「流動性の罠を脱すれば、再び貨幣需要側の制
約が効いてくる。高インフレを招かないためには、政府
紙幣または日銀券を減少させる必要が出てくる。」
との主張があるが、30兆円を超える需給ギャツプのも
とでは20兆円程度の政府紙幣の発行では、高インフレ
の原因とはなりえない。
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