野口悠紀雄先生がDiamond Onlineの中で、供給ショック
時の経済政策の目的は、総需要の抑制
http://diamond.jp/articles/-/11818
という論文を投稿されている。
その内容は大震災の復興資金は増税で賄うべきだという主張
を理論武装するものである。しかし、その論拠には納得できない
ことが多く書かれている。以下で先生の主張を検証してみよう。
1.世界経済危機は需要の急減という需要ショックであったため、
総需要の追加が必要だった。ところが、東日本大震災は供
給側で生じたショックであるため、総需要を抑制する必要が
ある。
反論1.わざわざ増税により今この時点で意図的に抑制しなく
ても、失業者の増加、企業倒産、所得減、外国人の避
難、日本への渡航自粛、生産低下等により現時点では
需要は既に抑制されている。
2.復興のための財政支出が国債なら金利が上昇し、復興投資
が遅れる。また、金利が上昇すれば円高になり輸入の増加
や生産設備の海外移転がおこる。
反論2.過去3年間の国債発行額と長期金利の推移からみて、
20兆円程度の国債を発行しても金利が2%台にのる
可能性はなく1.3-5%の範囲に収まり、復興投資や80
円をきる円高を心配するレベルではない。今はむしろ
円安を心配すべき時期である。
3.日銀引受で国債を発行すればインフレになる。過去の復興債発
行による傾斜生産でハイパーインフレが発生した。
反論2.復興債の発行額は昭和22年度で全国の銀行の貸付総
額を上回る金額、23年度でも全国の貸付総額の1/3に
達していた。今回20兆円の国債を発行しても銀行の貸出
総額475兆円の4.2%の規模、マネーストックの広義流動
性1400兆円の1.4%にすぎず、復興債を例にだしインフレ
に結びつくと騒ぐ額ではない。
4.インフレによる消費削減は低所得者にも及ぶのに対して、増税
による消費削減は、主として高所得者の消費を削減するだろう。
その意味で、インフレよりは増税のほうが望ましい。
反論4.消費税による増税の場合、高所得者より低所得者に与える
影響が大きい。所得税増税でもぎりぎりで生活する低所得
者の生活の方がより悪化する。インフレの場合うまく活用
すれば所得増加のチャンスが生じる。この意味で同じ負担
増なら増税よりインフレの方がまし。
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