収益計画も大幅に改善し、製造業では10年度も4 割超の増益を見込んでいる。
しかし、業況の改善、大幅な増益見通しにもかかわらず、大企業・製造業の10 年度の設備投資計画は
前年度比3.8%増にとどまっており、市場予想を大きく下回った。
一方、5 月末の日本経済新聞社の投資計画調査では、大企業製造業の10年度の設備投資計画は前年比
17.3%になっており、両資料の間には大きなかい離がある。
この原因は、海外設備投資である。日銀短観は原則、国内での設備投資を対象とし集計しているのに対し、
日経調査は海外分を含めている。
つまり、大企業の設備投資は主に海外に向かっているということである。
個々の企業業績が回復しても、国内の景気が良くならない理由がここに表れている。
以前は大企業の業績回復=日本の景気回復であったが、今日ではそれが当てはまらなくなったのである。
日経新聞社が6 月下旬に実施したアンケートにおいても、経営課題として最多票を集めたのが、「新興国な
ど海外事業の拡大」であった。
大企業が国内市場の伸びが期待できない状況に対応し、収益拡大の矛先を海外へと向けていることが、
日本経済停滞の要因となっている。
経済百葉箱 第32号参照
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