沖縄返還交渉で当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が交わしたとされる有事の際の核の
再持ち込みに関する密約文書を、佐藤氏の遺族が保管していたことが22日、明らかになった。
元首相の次男の佐藤信二元通産相によると文書は実物で、佐藤元首相とニクソン大統領のフ
ルネームの署名が入っており、日付は69年11月19日付。「重大な緊急事態が生じた際には、
米政府は日本国政府と事前協議を行ったうえで、核兵器を沖縄に再び持ち込むこと、および沖
縄を通過する権利が認められることを必要とする」とし、日本政府は「遅滞なくそれらの必要を満
たす」と明記しているという。
佐藤氏の遺族が文書を発見した後、外務省関係者に同省の外交史料館での保管を申し出たが、
公文書ではなく私文書に当たるとして断られたというが、こんな重要な内容が私文書であるはず
もなく、外務省を通さず佐藤元首相が独断でアメリカと締結できる内容でもない。
明らかに、外務省を含む政府全体として合意していたが、反安保闘争の盛り上がりのなかで、
国民合意を得ることが困難と判断し、内密に合意されたものであろう。
当時、マスコミは反安保の論陣を張っており、世論も今と異なり左翼的意見が主流を占めてお
り、核持ち込みを公言すれば、より一層の混乱が発生したかもしれない。
しかし、世論が現実的でないから、政府内だけで現実的な政策を進めるという愚民政策が、いつ
までも幼稚で現実的でない日本人の政治的センスの欠如を現在まで残したのは否定できない。
たとえ、その道が間違っており、世論通りにすれば、国民の不利益になるかもしれない状況
においても、民主主義政府というものは、国民に事実を開示し、その判断に従って政治を行う
べきである。
当時においては、アメリカは核持ち込みを許可しなければ沖縄を返却しない方針であることを
国民に示した上で、核の持ち込みを認めるか、沖縄の返還をあきらめるかを国民に問うべきで
あった。
何ごとにおいても、重要な政治判断においては、国民に情報を開示し、その上で政府の判断を
示し、国民の審判をうけるべきである。
そうしないと、日本国民はいつまでたっても政治的に成熟せず、愚かなままであり、戦前のように
マスコミに踊らされ、国を滅ぼす愚かな選択をしかねない。
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