9月まで16カ月連続で減少している。
これに対し、米国や英国、ドイツでは賃金の上昇傾向が続いており、主要国の中では日本の賃金下
落が際立っている。
この原因は、景気悪化の対応が欧米事業では人員整理で対応するのに対し、日本企業は人員の削
減を抑え、給与や賞与の削減で景気悪化に対応してきた結果である。
首にする人数を減らす代わりに、みなが少しずつ給料を我慢してほしいというわけである。
いかにも日本らしい対応であり、一見良い方法のように見えるが本当だろうか。
定年延長を実施した時も、多くの企業で、定年延長後の給料を減額することが行われた。
役職定年という形で行うところが多いが、仕事はそのままで給与だけ減額する企業もあった。
このように、給与を引き下げ余剰人員を抱えることは、定年延長の場合でも、雇用維持の場合
でも大きな問題がある。
余剰人員の存在は企業内での業務効率化の意欲を減退させる。また、従業員にとっても
給与の低下は仕事に対する意欲を減退させる。
日本企業はまだ、定年延長した元管理職を戦力化するノウハウを確立しておらず、誰が見ても
企業にとってあまり必要でない仕事につかざるをえない従業員の無気力が企業全体をむしばん
でいる。
その結果、日本企業の生産性は欧米企業と比較し低いままに放置され、経営者の無能と相まって
日本企業の世界での地位はますます低下していく。
また、給与水準の低下が日本の需要を低迷させ、景気の回復を妨げている。
欧米のように不況になればすぐに首を切る政策は、一見非情に見えるかもしれない。
しかし、いかに生活のためとはいえ、自分が満足できず、評価もされない仕事につくことが幸せと
いえるだろうか。
自分を必要としないところに雇用されるよりは、一旦解雇されても、自分を必要とする仕事を見つけ
そこで働き、仕事に見合う給与を得る方がはるかに幸せである。
現実は求人もなく仕事もないかもしれない。しかし、失業者が生活できるようにし、能力の発揮できる
仕事を見つけられるようにすることが国の繁栄につながる。
今の職安体制では絶対無理だが、政府はこの体制を整備する必要がある。そうでないと、日本と
日本企業は人材の有効活用ができず、ますます衰退していくだろう。
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