鉱工業生産などマクロ経済指標が改善の兆しを見せている。個々の企業業績に
ついても改善する企業が増えている。
しかし、その改善のレベルは、韓国や台湾、中国など日本の産業界のライバルたちの
直近の改善状況には遠く及ばない。当然経済全体の回復状況を見ても日本の出遅れは
明白である。
その原因の一つは日本の大企業にある。
大企業は不振の原因を為替の円高や労働者の高い賃金に求めるが、これは違う。
世界に工場を持ち、市場の多くを海外に依存するグローバル企業が、海外企業との
競争に負けるのは経営能力が低いからである。
世界のエリートビジネスマンやその候補生にとって日本企業は最も働きたくない会社である。
現地人材への権限の委譲も少ないことや、幹部の報酬が低いもあるが、その最大の理由は、
日本企業では何もかもがあいまいなことだ。仕事の責任範囲、昇格基準、評価基準など人事
諸制度が明確でない。
このことが、日本企業の弱さの原因である。バブル以前においては、日本企業は欧米企業の
マネをし、これに追い付け追い越せでよかった。この段階では経営能力よりも、命令に忠実で
勤勉な労働者の方が重要であった。
しかし、日本企業が欧米企業を手本にできなくなった今、経営能力こそが発展の決定的要素
である。
だが、日本では中途半端であいまいな能力主義人事制度の採用により、適材適所ではなく、
上司のお気に入りだけが重要な地位を占めることになり、日本の大企業は潜在的な能力を
持つ有能な人材が活用されずに放置されている人材の墓場と化している。
人材活用ができず、適材適所の人員配置もできない日本企業の経営能力の低いのは当然
の帰結であり、この点を改善しないかぎり、日本企業の復活はない。
もう一つの原因は金融の不備である。
国内銀行が保有する国債残高が昨秋から急増、6月末には111兆円台と最高水準に達した。
原因は借入需要がないことらしいが、これも嘘である。
誰がみても絶対大丈夫なところにしか貸そうとしないから重要がないのである。
新しいアイデアを持つ企業に積極的に融資するようでないと、日本発の新規事業は生まれて
こない。
ソフトバンクも楽天もアメリカの猿まねにすぎず、日本発の新事業がでてこないのも、日本経
済の低迷を象徴している。
そもそも預金を集めて国債を買うような金融機関は必要ない。こんなことだから、預金金利も
低いままに放置され、海外債券や投資信託を通じ、国民の資金の多くが海外に流出し、日本
の発展に寄与していない。
日本経済を復興させるためには、日本の資金を国内で使い、そのことが日本の発展につながる
ような資金需要を開拓する必要がある。
日本企業に期待できないとすれば、周知を集め国が実行する以外に方法はない。
この意味でも民主党政権への期待は大きい。
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