このことを意外だと感じたのは、ごく少数であり、日本政府関係者もはじめ
大部分の政治ウォッチャーにとって、そうなるであろうことは予想できた。
核や拉致問題解決への切り札を切った背景には、ブッシュ政権の苦境がある。
北朝鮮の駆使する、寧辺(ヨンビョン)核施設の再稼働をにおわせ、6カ国協議の崩壊
を人質とした戦術の前に、イラクなどで外交成果が望めないばかりか、金融危機に足
をとられて苦境のブッシュ大統領は、屈した。
当初の完全な核放棄という目標は、北朝鮮の瀬戸際戦術に押されて事実上棚
上げとなり、無能力化と核計画の申告にすり替わることになった。
11月の米大統領選が近づく前に北の核施設の無能力化や、核計画の申告問題
に決着をつけたいという米政権側の思惑からである。
アメリカにとって、北朝鮮は直接的な脅威とはなりえず、適当な妥協をしても、自国に
それほどの影響のない相手である。
しかし、日本にとってはそうではない。北朝鮮の核は日本を破壊できる。
アメリカが報復するから、北朝鮮が日本を攻撃することはありえない。
大部分の国民はそう考えていると思うが、100%確実なことだろうか、
ここにはいくつもの仮定が含まれている。
ヒトラーも、アメリカはヨーロッパに介入しないと判断して、イギリスとの戦争に
突入した。
北朝鮮の指導者も判断を誤るかもしれない。
その時、ひょっとしたらアメリカは自国の都合で動かないかもしれない。
日本も自国は自分で守る環境を整備する必要がある。
そうしない限り、何時までも他国の都合で動かされることになる。
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