一時どのテレビ局でも放送され、雑誌や本でも出版されていた「すごいぞ日本」ブームも一段落したようだが、今でも日本はすごい国なんだと本気で信じている人はかなりいるらしい。
しかし、残念ながらそれは幻想にすぎない。
強いと思われている日本企業についても非常に脆弱である。海外旅行に行けばすぐにわかるが日本の物価は安い。購買力平価でみれば円はもっと高くでも何ら不思議はない。しかし、日本企業は少し円高になれば減益になってしまう。安くないと売れない程度の製品しか提供できてないからである。
こんなことを言うと、世界シェアーで大きな割合を占める企業がいくつもあるという反論がくるが、しかし、そのような企業が増加しているかというとそうではない。また、中国のように新しい事業が次々と花開いていることもない。過度な規制が妨げているからである。
社会面では問題の深刻さは致命的である。少子化に起因す人口構造の高齢化は日本の財政面や経済面で破壊的な悪影響をもたらすと考えられているが、政府は人口増加の為に何ら実効のある施策を実施していない。
財政赤字を強調し増税と高齢者をターゲットとした社会保険制度の改悪実施しているが、この政策は必然的に破綻する。
年金を生活の命綱とする3500万人の高齢者の生活は限界に達しており、今後予定される増税や社会保険の改悪により少なくない高齢者が自立できなくなり、これによる削減分を生活保護費の増加が上回ることになる。
消費税増税等の増税で財政改善を図るとしているが、累積する借金は勿論、プライマリーバランスを改善するだけでも足らないだけでなく、経済の悪化をもたらし増税しても税収が増加しなくなる。また、現在40代から50代の少なからぬ部分がかつかつの生活をおくっており老後の準備ができていない。これ以上負担を増やせばより多くの団塊ジュニア世代が将来の老後破綻候補者となる。
日本を蝕む少子高齢化を根本的に解決するには、目先の財政赤字に目を瞑り、20年先をターゲツトに根本的な少子化対策と経済拡大策を実施すべきだが、政府は目先の財政問題等に追われその対策を怠っている。
財政再建は現在の赤字を20年後の少子化の解消でそこから20年程度かけて補うというような長期的視点でしか実現できない。
これができなければ日本社会は敗戦当時のように一度徹底的に破壊することなしには復活できない。