去年行った国勢調査の速報値によると、日本の人口
に占める65歳以上の割合は26.7%と、調査開始
以来初めて25%を上回り、4人に1人が高齢者とな
ったことが分かった。
65歳以上の高齢者はほとんど年金生活者なので実
に日本の人口の1/4以上は経済活動に寄与していな
いことになる。
これでは日本経済が不振なのもやむをえない。65歳
以上の高齢者といっても75歳までとそれ以上では健
康や能力面で大きく異なる。
75歳以下の高齢者は十分に働く能力と体力を持って
いる。彼らを経済活動の場に呼び戻すことで日本の潜
在的成長力は大きく上昇する。
高齢者の労働力を活用しようとすると、すぐにでてくる
のが、年金の削減や年金受給年齢の引き上げといった
ムチの政策である。
高齢者を働かざるをえなくすると同時に年金財源不足
対策にもなるといった当事者の高齢者を無視した上か
ら目線の政策である。
しかし、これでは何も解決しない。今でも年金をもらい
ながら働くと、一定額以上の収入で年金が減額される。
これなども高齢者の労働意欲を大きく阻害している。
65歳以上の高齢者が働かない理由の最大のものは
仕事がないからである。
仕事がないと言うと、それは甘えであり、仕事は選り好
みさえしなければある、という批判がでる。
しかし、それは間違いである。高齢者が職安に行くと確
かに仕事はある。だが、その大部分は駐車場やマンシ
ョンの管理人であったり、警備、交通整理、掃除等の誰
でもできる仕事ばかりである。
これでは元気で能力ある高齢者は働きたいとは思わない
し、日本経済の活性化にも寄与しない。
高齢者が現役時代に培った経験や能力を活かせる仕
事につくことをサポートできるような仕組みが必要であ
る。
高齢者の活用に対するもう一つの批判は若者の仕事
が奪われるという危惧である。しかし、高齢者がその経
験を活かした仕事につけるとすれば、その仕事が若者
と競合することはない。
経験豊かな高齢者を誰でもできる仕事に使おうとする
から若者と競合するのである。
高齢者と若者は体力や能力、経験の種類が異な
り、本来は競合することはない。