EU諸国の消費税は日本よりはるかに高いが、不思
議とヨーロッパを旅行していて消費税の高さを意識
したことはない。
日本で買い物をし金を払う時に、消費税の高さにイ
ライラするのとは正反対である。
理由は簡単で、ヨーロッパでは価格の中に税金が織
り込まれ消費税がいくらかは値札を見ても認識でき
ないからである。
普通に値札通り金を支払っているだけであり、値段が
高くても物価が高いと認識するだけで税金が高いとは
思わない。
日本は財務省の方針で外税方式を採用しているため、
殊更税金の高さを意識せざるを得ないのである。
消費者は買い物をする度に消費税の高さを再認識し
サイフの紐を絞めることになる。
1000円の買い物をし1008円札では間に合わず、
わざわざ一円玉を捜す煩わしさと不愉快さはこの上
もない。
東大法学部出身の多い財務省のエリートは増税分を
業者が転嫁しやすいようにとか、制度設計の時点で
色々重箱の隅をつつくように細かく考えるが、肝心の
庶民感情を全く理解できていない。
外税方式で買い物の都度消費税を意識させることは
国民の納税意欲を促進させ満足感を与えるのではな
く、消費税に強い拒否反応を抱かせていることを世間
に疎いエリート官僚は実感できていない。
何に関するものであれ、行政は庶民を動かすことを目
的とする。エリート家庭に育ち、エリート学校に行き、エ
リート官僚の地位についた者には庶民は理解できず、
良い行政は行えない。
せめて、大学卒業後は一般の職につき、世間というも
のを実体験した後にエリート官僚の地位について行政
を行うべきである。
エリート学校を卒業後、エリート官僚となり、その者が
日本の政治を差配する。
政治のどの分野であれ、そのような世間知らずで視野
の狭い指導者層ばかりだと、他国の多様な指導者層
に大きく見劣りすることになる。